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General Motors社における革新的予測技術を用いたブレーキ鳴き問題への取り組み

General Motors社とLMSエンジニアリング サービスがブレーキ鳴き問題解決のための新しい予測法を開発

Brake Squeal 1混雑したショッピング街を横断するのと同様に、自宅の車庫から車を出すときブレーキがキーキー鳴くことほどイライラすることはありません。ブレーキ装置から出るこの大きく単調な音は、誰もが否定的に感じる音ですが、技術的には非常に克服し難い問題であり、自動車メーカーやブレーキ部品メーカーにとって根強い品質上の課題となっています。General Motors(GM)社は、LMSと協力して、設計プロセスの初期段階でブレーキ鳴き問題を特定し、解決の手助けとするため、高度な試験と系統的に相関が取られた静的・動的シミュレーションを効果的に組み合わせた新しいプロセスを開発しました。この世界最大の車両メーカーは、13kHzの断続的なきしみ音の特性を示すことによって、この手法の妥当性を検証し、その後いくつかの開発プログラムにそれを適用してきました。GM社のエンジニア、Mark Riefe氏は次のようにコメントしています。「ブレーキ鳴きの動特性を測定しモデル化できたことは、振動騒音の削減に向けた我々の取り組みにおける大きな前進であり、エンジニアリングコストと開発リードタイムの大きな節減につながりました。」


ブレーキ鳴きのモデル化への挑戦

ブレーキ鳴きは、制動時にブレーキ装置から発生する騒音ですが、極めて複雑な現象であり、そのためモデル化することも非常に困難です。様々なブレーキ部品の特性、これらパーツの接合状態、パーツと連結部に注油されるグリース、ブレーキパッドの温度、そしてブレーキパッドとローターの間の摩擦、これらがすべてブレーキ鳴き現象の要因となり得ます。加えて、個々のコンポーネントの共振が互いに強く作用し合い、この現象をさらに制御し難いものにしています。ブレーキ鳴き問題に対しては、通常の有限要素解析は十分正確とは言えないため、従来から反復的な「設計-試作-実験」のプロセスで対処されてきました。
この時間のかかるアプローチでは、通常、問題は設計プロセスの後段階でしか特定できないため、解決するには多大なコストを要します。

Brake Squeal 2GMエンジニアのMark Riefe氏とTinghui Steven Shi氏は、LMSのコンサルティングエンジニアSteven Domとともに、高周波のブレーキ鳴き現象を再現し予測するための、系統的かつ徹底的な相関検討と更新のプロセスを開発しました。このプロセスは、ブレーキコーナーモジュール一式の初期FEモデルを作成することから開始されます。このモデルを用いて、ブレーキコーナーモジュールの最適な測定位置が決定されます。そして、ブレーキ装置の主要コンポーネントごとに実施された実験モーダル解析の結果を用いて、手作業による調整または自動最適化ルーチンによって、個々のFEコンポーネントモデルが更新されます。

次に、モーダル試験とモデル更新の手順が、同様にブレーキアセンブリ全体に対しても実施されます。最終ステップでは、ブレーキ鳴きが生じているとき、ブレーキアセンブリの実稼働変形形状(ODS)が測定されます。このODSは複素固有値FE解析からの安定性の結果と比較され、両者の結果がよく調和したならば、解析から得られた不安定モードがODSで示されたのと同じ鳴きのメカニズムを表現していると、エンジニアは事実上確信できるのです。


新しい手法の検証

Brake Squeal 313kHzのきしみ音を示すブレーキコーナーモジュールを用いて、この新しい予測手法が検証されました。この特定のケースでは、ブレーキローターが1回転するたびに短いきしみ音が1~2回生じます。

最初のステップは、FEモデルの作成、測定位置の選択、そしてLMS Gatewayを用いた実験モデル形状の生成です。最初のFEモデルのモードが、正確なモーダル解析にとって十分詳細なメッシュであるかどうかの判定に用いられました。それはまた、実験モデル形状の適切な自由度数とその空間的分布を決定するのにも役立ちました。このソフトウェアは、各モードペア間の類似性あるいは共直線性の指標である、モード信頼性評価基準(MAC)も生成します。正しい測定点を選択することの目的は、生成されたMACマトリックスの非対角項の値をできるだけ小さくすることでした。これが達成されるということは、選択された測定点から収集されるデータが、完全かつ正確なモード結果をもたらすことを保証するものです。ブレーキローターの各チェックのために、36個の測定点からなる2つの同心円が選択されました。その他の測定点は、ブレーキパッド、キャリパー、ブ
ラケット、そして車軸上に選択されました。

動的な実稼働変形形状(ODS)

Brake Squeal 4便宜上、ODSの測定はプロセスの最後ではなく、この次に行われました。LMS CADA-XのRunning Modesモジュールを用いて、ODS評価が実施されました。ブレーキダイナモメーターによって、エンジニアはブレーキ鳴きの生成に必要な実稼働状態を手動で再現することができます。レーザードップラー振動計(LDV)を用いて、ローターの面外変形量が記録され、一方で、小型軽量の加速度計を用いて、ローターの面内変形量と非回転コンポーネントの変形量が記録されました。車軸と関連の取付具が大きな固定マスに取り付けられ、きしみ音が発生した圧力範囲に対応して3段階のブレーキ圧が適用されました。
システムの状態、特に車輪の回転スピードとブレーキ圧は、試験中を通して一定に保たれました。ブレーキアセンブリ上の全点を測定するには、1つの共通レファレンスチャンネル(キャリパー上の特定点に対応)で何回も測定を実行する必要がありました。分析は3つの部分に分割されました。それらは、ディスクのアウトボード側とインボード側(どちらも面外)および面内の計測です。
LDVではフロントとリア側を同時に計測することができないため、このように分割する必要がありました。48チャンネルのLMSデータ収集システム(LMS CADA-X TMONおよびSMONポストプロセッシングを含む)と加速度計そしてLDVを用いて、ODSのデータが収集されました。測定データは、応答の基準信号に対するクロスパワーとして、および基準信号のオートパワーとして保存されました。そして、振幅補正のクロスパワーをアニメーション表示することによって、ODSが生成されました。面内データを収集している間、正確に測定の位置決めを行えるようにするため、鳴きが生じるタイミングに関してディスク
の位置も追跡する必要がありました。

静的なモーダル解析

以前にODS測定に用いられたのと同じ位置が、個々の実験的コンポーネント評価に対しても用いられました。この一連の評価は、LMS CADA-X Modal Analysisモジュールを用いて行われました。個々のコンポーネントモデルの形状と材料特性の修正を通じて、測定されたモーダル応答との適切な相関が得られるまで、システムモデルが調整されました。

すべてのコンポーネントが検証され更新されると、ODS測定の際に鳴きを生じるように適用されたのと同様の稼働条件および境界条件を用いて、全体アセンブリのモーダル特性が解析されました。全体アセンブリの相関は、コンポーネント同士の相互作用が支配的でありがちな低周波数から実施されました。すべての結合部の剛性は、LMS GatewayのLinkSolverルーチンを用いて調整されました。再び、複素固有値解析が実施されて
不安定モードが特定され、続いて、それらは以前に測定されたODSと比較されました。検討されたブレーキコーナーモジュールのFEモデルは、ほぼ同一形状の3つの不安定モードを示しました。そして、これらモードのすべてが、実験ODSの周波数レンジの150 Hz以内に留まっていました。実験と解析の両形状は非常に類似しており、2つのローター側面に挟まれた相対歩行運動を示していました。


ブレーキ鳴き問題の解決

これらの結果から、適切に検証を行えば、設計プロセスの比較的早い段階から、15kHzくらいまでのブレーキ鳴き問題に対処するための予測・診断ツールとして、解析は十分役立つことが示されました。GMエンジニアのTinghui Steven Shi氏は次のように述べています。「このプロセスの成功の鍵は、コンポーネントとシステムの両レベルで、また静的と動的の両条件下でなされた、物理テストと仮想 FEモデリングの間の系統的かつ徹底的な相関検討にあります。ひとたび、解析モデルの徹底的な検証が行われたならば、設計サイクルのかなり早い段階でブレーキ鳴き問題を特定し解決するために、我々はそれを利用できるようになるのです。この記事で説明した問題でこの手法の妥当性を検証した後、我々はそれをGMの開発プロセスの本流に乗せました。そして実際のプログラムのいくつかで利用しています。」



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