カナダ・オンタリオ州オークビルにあるGoodrich の着陸装置テスト施設に設けられた「スーパーリグ」で、LMS のエンジニアリングサービス部門のコンサルタントが、エアバスA380 の胴体主脚の試作アセンブリに対して実験モーダル解析を実施しました。重さ12,000 ポンドの胴体主脚をコンクリートの上高さ12 フィートまで吊り下げた状態で、彼らは最大1,000 ニュートンレベルのバーストランダム加振とステップサイン加振を与えました。静止ストロークと完全に伸びたストロークの両方において、実験データから抽出された着陸装置の主要なモード形状は、Airbus における構造検討に利用され、同時にGoodrich の着陸装置部門によって作成された有限要素(FE)モデルの検証に役立てられました。
世界最大の着陸装置メーカー
Goodrich の着陸装置部門の輝かしい歴史は1926 年に遡ります。当時、Cleveland Pneumatic(現在はGoodrich の一部門)が業界に先駆けて着陸装置に空気- 油式ストラットを導入しました。そして、Goodrichは1999 年にMenasco と合併し、世界最大の着陸装置メーカーとなりました。現在、Goodrich は、Agusta、Airbus、Boeing、Bombardier、Gulfstream、およびLockheed Martin など、世界の主要航空機メーカーに着陸装置を供給しています。
Goodrich の着陸装置部門の成功は、その装置によって達成される離着陸のたびに高く評価されています。エアバスA380 は、乗客と貨物および燃料を満載したとき約1,300,000ポンドもの重量があるため、この二階建てジェット旅客機の着陸装置の設計および開発には厳しい要件が課せられています。この巨大航空機の安全かつ快適な離着陸や地上走行を確保するため、Airbus はA380 着陸装置の開発および製造をGoodrich に託しました。
LMS の専門家のモーダル試験技術力に頼る
右胴体主脚に対して実施される予定の構造試験プロジェクトを後押しするため、GoodrichはLMS エンジニアリングサービス部門の米国チームと契約を結びました。「LMS の仕事は着陸装置のEMA に関するものでしたが、これによってGoodrich はこの非常に複雑なメカアセンブリのFE モデルを検証

することができました」と、
オークビルにあるGoodrich の着陸装置テスト施設で働く着陸装置性能部門のマネージャ、Alvin Fong 氏は話しています。「この6 輪からなる胴体主脚はおよそ12,000 ポンドの重さがあり、完全に伸びたとき25 フィート以上の長さになります。着陸装置の開発において、我々の任務はモード安定性と構造耐力の要件を満たすことで、装置がその耐用年数を通して受けるあらゆる荷重と環境に安全に対応できるよう保証することです。」
A380 の着陸装置に対する構造試験プロジェクトは、オークビルにあるGoodrich の着陸装置テスト施設で行われました。この施設の中核となる設備は、7 つの試験区画からなる超大型の鉄骨構造「スーパーリグ」です。それぞれの区画は、A380 の胴体主脚または主翼主脚を取り扱うことが可能です。スーパーリグの構造全体は、フットボール競技場2 つ分の広さで深さ3 フィートのピット内に置かれています。モーダル試験プロジェクトに供される胴体主脚のプロトタイプで、第2 区画はいっぱいに埋め尽くされました。鉄骨構造のリグにより、巨大な胴体主脚でもフリーフリー条件に吊り下げることが可能でした。
試験のセットアップでは、LMS はそれぞれ5,000ポンドのコンクリートで満たされた2 つの頑丈なスタンドを組み立てる必要がありました。主脚ジョイントの自由な動きをできるだけ抑えるため、LMS のコンサルタントは柔らかいゴムロープで鉛直方向に静的力を加えることで胴体主脚ユニットに予荷重を与えました。測定装置は、最新のSCADAS 316 ハードウェアとLMS PolyMAX モーダルパラメータ推定ツールを内蔵するLMS Test.Lab ソフトウェアで構成されています。またこの装置は、加振機システムの励振管理をコントロールしています。
モーダル試験セットアップの妥当性の検討
この大きさと重量の供試体にモーダル試験を実施する際に、十分なエネルギーが加わるようLMS の技術コンサルタントは多数の加振機を設置しました。1,000 ニュートンのピーク荷重を生成する能力を持った2 台の動電型加振機が、バーストランダムまたはステップサインのどちらかで加振するよう調整されました。最初のモーダル試験で、試験装置自身が8 ヘルツ付近で顕著な前後運動を示すことが分かりました。これらの卓越周波数は0 〜10 ヘルツの範囲にあり、それは着陸装置のモーダル試験にとって興味のある周波数範囲であるため、主脚のモードと試験装置のモードの間に重大な動的結合が観察されました。試験プロジェクトを通じて、この試験装置と主脚の干渉を監視できるように、LMS のエンジニアは主脚ユニットのモーダル試験ジオメトリに多数のリグ測定点を追加しました。
モーダル試験のセットアップ特性を検証するため、LMS のコンサルタントはオートパワースペクトル以外に周波数応答関数(FRF)のコヒーレンスと相反性も評価しました。これらを確認することで、全入力エネルギーが
出力側に現れているか、そして加振点と測定点が好ましい位置にあるかどうかが分かります。前後部の加振機の励振を関係付けるオートパワースペクトルから、両加振機からの入力が同じ励振力レベルにあって、興味ある周波数レンジに渡って全周波数が一様に励起されていることが分かりました。
「構造FRF のコヒーレンスと相反性を評価した際、設定した5 〜15 ニュートンの励振力レベルでは、2
つの加振機によるバーストランダム入力から、静止ストローク位置と伸びた位置で主脚にわずかな非線形挙動が見られただけでした」と、LMS のエンジニアリングサービス部門のビジネス開発マネージャであるPaul Weal は説明しています。「しかし、ステップサイン加振を用いて励振力レベルを確実に(200 から1,000 ニュートンまで)増加させたとき、巨大な主脚のジョイント接合部に存在するほんのわずかなバックラッシが主原因とみられる強い非線形挙動が確認されました。最大励振力レベルで試験した際は、結果として生じた曲げモードとねじりモードはまさに目に見えるまでとなり、我々は約1 インチの変位を確認しました。このように駆動点FRF 関数を利用して、我々は、励振力レベルの増大に応じて現れる非線形性の進展を定量化しました。」
着陸装置のモードを選別する