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セスナの新型ビジネスジェット機開発への挑戦

すべての航空機メーカーにとって、新型機の開発はビッグプロジェクトであり、何年にも渡って苦労の伴う大事業となります。そのため、認証飛行テストで問題が発見されたりすると、とんでもない挫折を負うことになります。LMSの地上振動試験(GVT)と解析の技術が、このように決して間違いの許されない業界で、最大手と称されるビジネスジェット機メーカーの新型機開発の期間短縮に貢献しています。

その75年に渡る歴史の中で、Cessna Aircraft社は183,000機以上もの飛行機を世に送り出しました。世界最大のビジネスジェット機をはじめとして、今日、飛行中の民間飛行機の半分以上はセスナ機です。この会社が業界最 大手の地位を維持してきたのは、常に先進技術を取り入れて航空機設計に関するノウハウを養い、現在開発中の「ソブリン」のような新型機の開発を通じて業界をリードしてきたからに他なりません。

この完全に新開発のモデルは、ビジネスジェット機の市場で700万ドル以下の小型機と1500万ドルに迫る大型の大洋横断ジェット機との間を埋める、同社の野心作です。
業界アナリストは、「この分野には既に15年以上前に発表されたモデルがあったが、いくぶん旧式となっていたため、Cessna社はこれをまったく新しいモデルを投入するよい機会と捉えた」と分析しています。

ソブリンの価格は1200万ドルで、10人が搭乗でき、巡航速度はマッハ0.75で、同社のビジネスジェット「サイテーション」シリーズでは最大の機種となっています。LMSの技術支援を受けて、Cessna社は競合相手に打ち勝ち、さらにマーケットシェアを拡大しようとしています。







迅速かつタイムリーな設計

どの航空機メーカーにとっても、新型機の開発はビッグプロジェクトであり、何年にも渡って苦労が伴う大事業です。そのため、認証飛行テストで問題が発見されたりすると、とんでもない挫折を負うことになります。この厳しいテストは、米国では連邦航空局(FAA)、ヨーロッパその他でも同様の機関からの指示のもと、一般に1年以上もの期間と、飛行可能な試作機の準備に数百万ドルものコストを必要とします。認証テストが中断され設計のやり直しを命じられたならば、新型機の出荷は著しく遅れることになり、開発コストの大幅な増大を招くだけでなく、期待されていた収益とマーケットシェアも失うことになります。

Cessna社のような航空機メーカーにとって、誤りが許されるものではないことは明らかです。一方で、設計は
迅速かつタイムリーになされなければなりません。そのため、可能性のある問題は開発の早期段階で見つけ出して解決する必要があります。

フラッターの危険性

設計者は、“フラッター”のように大惨事につながりかねない状況に特に注意を払います。フラッターとは、主翼や補助翼その他の飛行面が、特定の対気速度を超えると過剰な振動を生じる空力的な不安定現象です。空気力によって励起された振動は、急激に振幅が増大し、最終的には構造の減衰能力を超えてしまいます。これによる曲げ変形は、飛行機の主翼や尾翼を一瞬にしてはぎ取るほどの激しさです。

開発の早期段階でフラッター問題を突き止めるため、航空機メーカーは、長年、標準のツールとして地上振動
試験(GVT)とモーダル解析を利用してきました。最初に、航空機の初期の有限要素(FE)モデルが組み立てら
れます。次に、GVTのセンサーで収集されたランダムノイズ加振機による試作機の周波数応答データをもとに、このモデルの相関性が検討されます。この検討では、FEモデルで予測されたモードや応答結果がGVTデータと比較され、そして両者が一致するようモデルが調整されます。そして、最終的にこのチューニングされた動的モデルが、危険モードが不安定となる際の対気速度を予測するためのモーダル解析に利用されます。これには一般に、MSC.NastranなどのFEコードの専用モジュールが用いられます。


厄介な問題を解決

このフラッター予測におけるFEモデルとGVTデータとの相関性の検討には、これまで常に厄介な問題がつきま
とっていました。カンザス州、ウィチタ市にあるCessna Aircraft社の振動工学の専門家であるCraig Mundt氏は、
これまで航空機メーカーは、実験と解析に別々のシステムを使用してきたと説明しています。その結果、GVTデータとFEデータの比較はプラットフォームにまたがって行う必要があり、とても面倒な作業になります。


「従来から、エンジニアは目視のためにデータのプロット図を机に並べて広げていました」と、Mundt氏は話しています。「これらの絵を見ながらの比較は、単調でとても時間のかかる仕事であり、しかもFEモデルのデータと合わせるよう実験をセットアップする必要がありました。何週間もの作業が必要であり、試作機を地上に何週間あるいは何ヶ月も据え付けておく費用は莫大なものになります。」

フラッターの予測には、翼の曲げとねじり振動モードの他に操縦翼面の回転モードも必要になります。また、胴体と主要構造部だけでなく飛行面に対する突風やエン
ジン振動などの条件から動的荷重を予測する際には、モデルの高次モードも分類しなければなりません。




統合化されたアプローチ

Cessna社は、彼らに課せられた面倒な要求さえも競争上の優位性に変えるため、GVTと動的モデルの相関性の検討用に、1997年からLMSの統合システムを使用しています。このシステムは、当初、同社の「アンコール」機で利用され、その後1999年には「サイテーションCJ2」モデルでも利用されました。現在、LMSのシステムは「ソブリン」の開発に利用されています。
 
このシステムの実験と解析そして相関性検討を互いにつなぐ部分は、LMS Gatewayと呼ばれるシステムで、こ
れは実験データとFEデータを組み合わせて単一の動的モデルとするためのプラットフォームです。実験結果とFE解析結果の比較を迅速に行うことができ、解析結果が機能上の要求を満たさない場合に、問題の根本的原因を突き止めるのに役立ちます。
 
実験の事前準備と計画には、LMS GatewayのPre-Testモジュールが利用できます。これによってエンジニアは、試作機に設置するセンサーと加振機の最適位置の決定が可能になります。次に、192チャンネルのLMS CADA-Xシステムを用いて実験が実施され、機体に取り付けられた一連のセンサーから、4機のランダムノイズ加振機による振動データが収集されます。これらのデータから、CADA-X内でモード形状が生成され、FE解析で求められた振動モードとの比較のためにGatewayに送られます。
 
比較結果は、モード評価基準(MAC)値のマトリックスで表示されます。これによって実験モードと解析モードが、どこで一致しどこで異なっているかが一目で分かるので、動的モデルのどの部分を調整すべきか正確に判断できます。モデルが更新され、さらに比較が行われます。この結果がよく適合していれば、最終的に相関性の確認されたモデルによって、MSC.Nastranによる正確なフラッター対気速度の計算準備が整います。


Cessna社にとっての主要なメリット

「LMSのソリューションは、実験と相関性検討の統合化を実現し、高精度な動的モデルの開発を可能にした点で、我々に大きなメリットをもたらしました」と、Mundt氏は述べています。「現在我々は、1~2日間で実験の準備を完了できます。GVTによる加振実験中は、フラッター解析の担当者は実験担当員と肩を並べて座ります。結果はすぐに得られます。もうファイルを変換したりプログラム間で転送したりする必要はなくなりました。」
 
Mundt氏は、Gatewayにおける実験と解析のデータを寄せ集める際の簡便さと精度の高さが、特に気に入っています。「実験データと解析データのプロット図を比較するのは退屈な作業でした。そして常に肝心な点を見
落とす危険性がありました」と、彼は述べています。

「Gatewayでのアニメーション表示と色分けされたMAC図によって、誤りは最小限に抑えられます。」Mundt氏に
よると、Cessna社にとって、LMSの統合システムは時間の節減になっただけでなく、フラッター速度のより正確
な予測も可能になったとのことです。「LMSのお陰で、より高精度な動的モデルを作成できるようになりました。より高精度なモデルが利用可能であるということは、航空機のフラッター試験の際に危険性の所在をしっかりと把握できることにつながります。」
 
迅速な製品化と絶対的な製品の信頼性が必須とされる業界において、これは、ビジネス上の価値と競争上の優位性を明確にCessna社にもたらすものだといえます。「LMSの統合ソリューションは、ソブリンの早期製品化
を可能にする鍵となるツールです」と、Mundt氏は述べています。「LMSのソリューションなしでは、同じ作業
を完了するのにもっと多くの時間を要したでしょう。このシステムは、我々のプロセスと品質の改善に役立って
います。」 



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