一次部品メーカーが1D システムシミュレーションを駆使してHiL 試験に基づきECU の制御方式を最適化
ECU は、運転の楽しさ、最適な乗り心地、排出ガスの削減、燃費効率の向上を実現する上で極めて重要な役割を果たす組込型知的ユニットへと進化してきました。このような制御系の技術的煩雑さの増大は、適正なエンジン制御規則の作成・管理をさらに困難なものにしています。
Siemens VDO 社のパワートレインエンジニアリング部門は、LMS Imagine.Labエンジン制御ソリューションを使用してHiL(Hardware-in-the-Loop) システムに基づくECU の制御方式を検証しています。これによって、彼らはECU の試験と検証に要するコストと開発期間の大幅な削減を実現しています。
ECU の試験と検証における問題点

エンジンと車両の試作点数が削減されるにつれて、ECU メーカーが試作機を利用できる機会も少なくなってきています。ECU メーカーにとって、これは当初デメリットと思われていましたが、HiL(Hardware-in-the-Loop)試験台で実施されるリアルタイムシミュレーションの利用が増大する結果となったため、逆にメリットに転じてきています。このようなHiL 試験は、エンジン制御アルゴリズムの検証段階で特に有用です。SiemensVDO 社のパワートレイン部門にとって、このような変化に完全に適応するには、彼らの設計プロセスをサポートするとともに、ECU の検証段階でHiL 試験用モデルを作成できるシステムシミュレーションソフトウェアが必要でした。さらにSiemens VDO 社は、できるだけ迅速に弱点や問題点を解消できるよう開発サイクルの早い段階でこれらの試験を開始したいと思っていました。世界的な排出ガス規制のもとエンジンはますます複雑なものになり、その結果、試作機の組み立てと制御方式の開発も非常に手間のかかるものになっています。そのためSiemensVDO 社は、コストを削減するとともに完成車メーカーからエンジン試作機をタイムリーに提供してもらう必要性を低減するため、試作実験をシミュレーションベースのプロセスに置き換えることを目指しました。
LMS Imagine.Lab による多分野にまたがったエンジン挙動のシミュレーション

Siemens VDO 社は、駆動伝達装置、エンジン管理用電子機器、燃料噴射装置などに関連した製品を幅広く製造しています。これらの装置はすべてエンジン性能と排出ガスに大きな影響を与えます。
Siemens VDO 社のパワートレイン部門は、エンジン制御とECU の試験および検証のプロセスをサポートするためLMS Imagine.Lab エンジン制御ソリューションを配備しました。
LMS Imagine.Lab が内蔵するIFP-Engineライブラリのコンポーネントによって、同社の開発チームはどのような種類のエンジン構成(ディーゼル、ガソリン、ターボチャージャー付き)もモデル化でき、平均値モデルはもちろん高周波モデルも取り扱うことが可能です。Siemens VDO社は、LMS Imagine.Lab の熱、空気圧、機械、IFP-Drive、および油圧の各ライブラリを使用して、多領域に渡って高精度なエンジンモデルを開発しています。高
周波モデルでは燃焼室の現象論的なモデリングが必要です。これには熱交換、熱力学的な変量、アクチュエータなどが関係します。専用ライブラリによって、彼らはこれら多分野にまたがる様相をシームレスに管理できるようになり、エンジンの定常および過渡的挙動の簡潔な表現が可能になります。
Matlab/Simulink インターフェースを用いれば、彼らはECU の設計段階でLMSImagine.Lab とSimulink 間の連成シミュレーションをシームレスに管理できます。またLMS Imagine.Lab のReal-Timeインターフェースによって、SiemensVDO 社は変換時間やエラーの可能性を回避し、リアルタイムシミュレータにモデルを直接エクスポートすることができました。Siemens VDO 社は、既存のエンジン技術のすべてをカバーする最先端のエンジンモデルを開発する上で、LMS Imagine 部門のエンジニアリング技術に高い信頼を寄せていました。
最先端を行く高品質なエンジン制御方式の開発

Siemens VDO 社のThierry Bourdon 氏によると、LMS Imagine.Lab エンジン制
御ソリューションはECU の主要機能の設計および統合のプロセスにおいて重要な役割を果たしています。それは、エンジンおよびそのアクチュエータの動的挙動をクランク角の時間スケールでシミュレーションする機能を備えています。
「LMS Imagine.Lab のアプローチは、ECU開発サイクルの全段階に完全に適用可能です」と、Thierry Bourdon 氏はコメントしています。「また、設計および仕様の段階からリアルタイムの試験および検証の段階まで、開発サイクル全体を通じて同じエンジンモデルが利用可能です。これにより、当社のユーザーはモデル情報を徐々に拡張することや、彼らの経験をフルに活用することが可能になります。彼らは、エンジン設計自体に用いられる高周波モデルを、エンジン制御方式の検証段階におけるリアルタイム計算の
制約条件に適合する平均値モデルへと簡単に進化させることができます。」

LMS Imagine.Lab エンジン制御ソリューションの大規模なツールおよびライブラリ群は、Siemens VDO 社のチームにとって追加負担なしでモデルに変更や修正を簡単に加えることを可能にしています。
彼らは一連の試験を素早くセットアップし、それらを迅速に繰り返して代替のパラメータ設定を検証できるのです。また、LMS Imagine.Lab を利用することによって、顧客から試作機をタイムリーに提供してもらう必要性はなくなり、排気ガスや燃料消費といったエンジン制御試験のさらなる問題に集中することも可能になりました。
さらに、LMS Imagine.Labエンジン制御ソリューションによって、Siemens VDO 社がシステムシミュレーションなしでは達成できなかった要求の残り13% にも回答できるようになりました。このソリューションは、エンジンデータが全く入手できないようなケースで特に有用でした。