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Scania 社がLMS Virtual.Lab とLMS Test.Lab を用いて開発力を強化

前進し続けるScania 社のトラック

chassis engine development 3過去1 世紀の間に、Scania 社は世界有数の大型トラックメーカーとなりました。自社の収益性をより強化し、新興成長市場でライバル会社に打ち勝つため、Scania 社はさらに高いレベルの革新と効率を目指してその車両開発業務を改善しています。そして、CAE主導型の開発体制をより強化し、プロセス統合のレベルをさらに高めるため、Scania 社はLMS Virtual.Lab やLMS Test.Lab のような業界標準のCAE と実験ソリューションをもとに将来の成功を勝ち取ろうとしています。



スウェーデンの大型トラックとバスおよびエンジンメーカーであるScania 社は、同社の顧客が物資や乗客を効率良く輸送できるようにするための高品質な車両とサービスを提供しています。同社のトラック事業は、長距離輸送、建設輸送、物資輸送用の大型トラックという最も収益性の高い分野に集中しています。トラックの需要が減少する中、Scania 社は収益面で世界No.1 の地位を徐々に確立することに成功しています。Scania 社の技術研究所の責任者であるPer Holst 氏によると、「コスト効率の高い製品開発、製造、および流通のプロセスを通して、最高品質の製品を提供するのことが成功の鍵であり、これを達成するには、購買および運用コストの低減、エンジン出力と積載能力の増強、そしてより一層の安全性と環境への配慮が重要で、そのような特性を持った車両へと導く画期的な技術進歩が必要だ」とのことです。

Scania 社が有名な「低速回転」エンジンの理念を導入して以来、同社のターボチャージャー付きトラックは、低
いエンジン回転数で走行しながら同時に高い牽引力と卓越した燃費、そして長い耐用年数を実現しています。もちろんScania 社のトラックは、経済的価値だけを追求して設計されているわけではありません。あらゆる走行条件下でのドライバーの快適性、エルゴノミクス、そして安全性の向上も図られています。


完全デジタルの仮想プロトタイピング環境の導入

chassis engine development 2Scania 社はIT をコアビジネスの1 つと考えており、IT関連の活動をすべて社内で管理・実行しています。この戦略の理論的根拠としては、Scania 社ではトラック開発/ 製造/ 保守におけるIT 技術の重要性がますます増大してきたことが挙げられます。Scania 社の今後10 年間のビジョンには、完全デジタルの仮想プロトタイピング環境を使用してトラックを開発することが明記されています。その目標には、仮想プロトタイプを用いて解析と数値シミュレーションを行い、物理プロトタイプはトラック設計の検証にのみ使用することが盛り込まれています。
このアプローチを実現するには、全社を通してCAE 手順とデータフォーマットを共通化し、ファイルの重複利用と測定の重複実施を回避することが必要となります。この目標を実現するために、Scania 社は厳選した少数のCAE ソリューションプロバイダーと提携していく予定です。その際にカギとなるのは、開発プラットフォームをDassault Systemes 社のCATIA V5 のCAD 環境に合わせるというScania 社の決定です。

Scania 社は、長年にわたりLMS の複数のCAE ソリューションを使用してきました。シャシー/ 運転室の開発プ
ロセスでは、エンジニアは有限要素(FE)法による境界条件の計算を組み合わせて適用し、エンジンと駆動伝達系の放射音が運転室に与える影響を予測することによってトラック運転室内の音響特性を最適化しています。最初の試作が行われる前にLMS SYSNOISE でシミュレーションすることによって、Scania 社のエンジニアは鋼板のさまざまな構成と運転席の吸音設計を検討できます。
LMS SYSNOISE はギアボックスの音響最適化にも使用されます。数学的に決定したギア歯にかかる力をもとに、Scania 社はギアボックスのうなり音など、特定の稼働条件下で発生するギアノイズを低減しています。

エンジン開発では、Scania 社はLMS Virtual.Lab を幅広く利用しています。まず、Pre-Acoustics モジュールを
系統的に用いて、トラックのエンジンとギアボックスのアセンブリを表すFE メッシュをもとに、音響解析専用
の規模が縮小されたメッシュが作成されます。かつては作成に30 日以上かかっていた境界要素(BE)モデリン
グのためのメッシュ改良作業が、今ではたった2 日未満で完了します。次に、Scania 社のエンジニアは、Engine Acoustics モジュールの革新的な音響伝達ベクトル(ATV)法を適用し、複数のエンジン回転数にわたって自由音場条件下で放射音圧レベルを予測します。Scania 社のエンジンの音響パワー特性は、専用のISO 3744 シミュレーション機能を使用して評価されます。Scania 社のシニアエンジニアのOla Jonsson 氏は、「この実証された音響シミュレーションプロセスから得られる詳細な結果は、発生の恐れがある問題を正確に突き止め解決できるという確信を我々に与えてくれます」と語っています。

LMS Virtual.Lab のもう1 つの大きな利点は、CATIAV5 と緊密に統合されていることです。集中管理されてい
るCAD 基盤とLMS Virtual.Lab のシミュレーションとの間のシームレスな連係によって、Scania 社の開発業務は
さらにスピードアップされることになります。これにより、Scania 社は開発プロセスの早い段階から重要な知見
が得られるだけでなく、いっそう複雑さを増す製品構成に対して開発プロセスをコントロールすることも容易に
なります。


実験業務をCAE の支援業務へと変える

chassis engine development 1広く認められているScania 車の品質の基本的な部分は、現在も、実機の試作実験によって支えられています。Scania 社のエンジニアは、毎日のように標準のモーダル試験を実行し、エンジンやシャシーに取り付ける小型部品の性能を評価しています。大規模なケースでは、新開発のトラックのフレームを評価する際に構造試験が実施されています。通常、このように大規模なモーダル試験の測定位置は500 を超え、フレームのモーダル特性に関する非常に詳細な情報が得られます。システム設計部門のシニアエンジニアであるLars-Ake Dahlqvist 氏は、Scania 社の現在の実験業務におけるLMS の実験ソリューションの役割について次のように説明しています。

「我々は明らかに以前よりも多様でチャンネル数の多い実験へと移行しています。LMS の実験解析システムは、1 つのソリューションで幅広いNVH 関連の試験に対応できるだけでなく耐久性試験も支援してくれます。データの収集や処理条件が異なるさまざまな試験構成に1 つのシステムで対応できるため、我々はLMS の実験システムの利用/ 保守/ トレーニングを効率よく運営することができます。」
Dahlqvist 氏はまた、実験とCAE の相互利用の拡大についても次のように語っています。「現在、我々は多数の試験を実施し多量のデータを蓄積しています。例えば、それらをLMS Gateway に渡して複数のシミュレー
ションに用いられるFE モデルの妥当性を検証しています。Scania 社は、実験業務をCAE の支援業務へと変えていこうと考えています。」

NVH 関連の試験に関しては、Scania 社は、トラックの実車走行モード解析を試験装置と試験コースの両方で
実施することによってトラックの乗り心地を改善しています。試験装置上に置かれたトラックには、実環境でのスピンドル測定から得られた最悪の走行条件に対応した励振力が車輪に加えられます。32 チャンネルのLMS 製モバイル測定システムを用いて走行時のデータが測定されると、エンジニアはLMS CADA-X を使用してそれらのデータを削減し、試験コース上でのトラックの全体的な挙動を解析します。その他のNVH 関連の試験には、車載計測器と通過騒音専用の収集解析ソフトウェアを組み合わせた、車内外の通過騒音試験があります。

Scania 社では、エンジン音響試験室で実施されるエンジン音響パワー測定の効率アップを図る目的で、LMS Test.Lab へのアップグレードが進行中です。LMS Test.Lab は実験データの収集と解析を行うだけでなく、マイクロホンロボットと試験台コンピュータとの通信を制御することで実験を完全に自動化することもできます。Dahlqvist 氏は、「このように高度に自動化されたエンジン実験設備をLMS Test.Lab を中心に構築することにより、Scania 社は音響試験室の処理能力を向上させています。これは当社の自動化に対する理念の良い見本であり、実験担当員が実際の試験を実施している間、エンジニアは彼本来の業務により集中して取り組むことができるのです」と説明しています。


勝利を収める次世代のトラック開発

このScania 社の断固たる選択、すなわち実験にCAE を補完する役割を与えるという新しい考え方は、同社の組織全体と顧客に必ずや良い影響を与えることでしょう。Per Holst 氏は、「仮想プロトタイピングと高精度な実機試験に基づくトラック開発は、我々の開発プロセスの効率を改善するだけでなく、さらなる革新の余地を与えるものでもあります。トップクラスのCAE ソリューションを用いることによって早い段階からエンジニアリング上の知見を得ることができれば、さらに斬新な製品コンセプトを導くことも、それらをより深く探求することも可能になります。高度に統合されたCAE 主導型の開発プロセスは、次世代のトラックを開発し勝利を収めることで、我が社の業績をさらに拡大させる原動力となります。この点に関して、LMS のCAE と実験のソリューションは高い評価を受けるだけの大きな貢献を果たしています。


モジュール方式による製品供給: その考え方

Scania 社の顧客は世界100 ヵ国以上に広がっています。同社の広範囲におよぶモジュール型製品群が、顧客の多様なニーズに応えるとともに、トラックを低価格で市場に投入することを可能にしています。部品系列は多岐にわたっても、結合点と接合部分を標準化することが同社のモジュール方式の基本です。Scania 社の全世界に供給されるトラック部品の中で、フロントガラスのフレームはわずか2 種類しかありません。この考え方によって、品質の継続的な改良と目標レベルの達成に要する作業は容易になるのです。



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