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史上最大の宇宙望遠鏡の最終テスト段階でLMS の装置が活躍

すべてが計画どおり進めば、2009 年前半に、この種の宇宙望遠鏡としては過去最大のハーシェル望遠鏡が、フランス領ギアナのクールーにある欧州宇宙船基地からアリアン5 ロケットで打ち上げられます。およそ6 ヶ月後には、ハーシェルは第2 ラグランジュ点と呼ばれる(天文学者は略してL2 と呼ぶ)宇宙空間のある地点
を中心とする運用軌道に到達する予定です。ハーシェルは、この地球から150 万キロメートル離れた宇宙空間の遠隔地点から、星や銀河がどのように形成されてきたのか、そして天の川や銀河の中で星はどのように成長し続けるのかを観測します。

このような規模のプロジェクトは、にわかに実現するものではありません。欧州宇宙機関(ESA)と欧州宇宙産業協会の専門家チームは、この高さ7.5 メートル、幅4 メートル、打ち上げ質量約3.3 トンのチューブ状をした貴重な貨物を、何年もかけてコツコツと組み立て宇宙船に組み込んできました。

ハーシェルのL2 までの旅は非常に厳しいものになります。この望遠鏡は、ハッブル望遠鏡よりもずっと遠い軌道上で3 年間観測を続ける予定になっています。それはL2 に向かう途中の厳しい環境条件だけでなく、打ち上げ自身も乗り切らなければいけません。打ち上げ時には、激しく加振されるでしょうし、打ち上げロケットのエンジンと空気力学的効果によって引き起こされる極めて高レベルのノイズにもさらされるでしょう。



Herschel-ESA-ESTEC.jpgこれこそ、オランダの北海沿岸の町ノールドワイクにある欧州宇宙研究技術センター(ESTEC)の試験センターを運営するEuropean Test Services(ETS)社の振動音響専門家チームが足を踏み入れている世界です。アムステルダムとハーグの間に位置するESTEC センターは、ESA 最大の総合
研究施設です。世界有数の試験センターであり、ヨーロッパの宇宙計画の拠点として、恐らくここはヨーロッパのロケット科学者が最も多く集まる場所なのです。

「ESTEC 試験センターは、ヨーロッパ最大の宇宙施設の1 つですが、世界最大の宇宙施設の1つかも知れません。構造試験設備としては、一連の動電型加振機、HYDRA と呼ばれる6 自由度油圧加振機、LEAF と呼ばれる最新鋭の音響設備、そして数多くの物理的特性の計測マシンがあります。それらすべてが、宇宙船とそのサブシステムや個々の装置などの構造設計に対する完全性と打ち上げ可能性を検証するためのものです」と、試験センター運営会社ETSのマーケティングおよび営業マネージャであるAlexander Kübler 氏は説明しています。

「HYDRA は実にユニークです。航空宇宙産業では制御機器に高い信頼性と安全性が求められます。加振機は、衛星を破壊しないように極めて滑らかに停止できなければいけません。このようなトン数を扱うことのできるサイトは、ヨーロッパにそう多くないと思います。通常、ほとんどは地震試験のためのものです。そこで1トンのセメントが崩れたとしても、大して問題とはならないでしょう」と、ESTEC 試験センター室長のGaetan Piret 氏は付け加えています。


ハーシェルの安全を確保する

ハーシェル衛星が一連の構造試験を受けて、仕様要件の順守が検証され、2009 年の歴史的な打ち上げに向けて飛行モデルの準備態勢の整ったことが確認されたのは、2008 年6 月下旬のことでした。これらの試験では、音響ノイズ試験と1 週間以上に渡る振動試験が実施されました。


LMS とETS のパートナーシップ

これら必要不可欠な振動音響試験の実行に際しては、施設のハードウェアとソフトウェアに150% の確実性が求められます。LMS International とESTEC-ETS の間には、長年にわたって成功を収めてきた協力関係があり、両社は航空宇宙試験業務における非常に手強い難問のいくつかも力を合わせて解決してきました。

5 年前、ESTEC 試験センターは、内製のシステムをLMS 製品にアップグレードしました。それは、最新鋭のLMS SCADAS III ハードウェアと、振動制御とデータ削減用のLMS Test.Lab Environmental Testing ソフトウェアからなっています。ESA スタッフとの密接な協力のもと、それら標準製品は最も効果的に配備できるよう、カスタマイズパッケージに組み込まれました。

この500 チャンネル超の新LMS システムは、LMS Test.Lab Environmental ソフトウェアとLMS SCADAS III ハードウェアを組み合わせた構成になっています。40 チャンネルの振動制御システムは、特定の荷重励振スケジュールをリアルタイムかつ閉ループモードで正確にコントロールします。マスター制御ステーションは、4 つの移動ステーションがすべての測定データを処理する間、データ収集全体を管理します。各移動ステーションは、シグナルコンディショニング、データ収集、生の時間軸データの格納、そして128 チャンネルのオンライン処理を行うことができます。

LMS のデータ収集システムは、リアルタイムに測定結果を表示し、試験が終われば即座に電子データをUSB スティックやDVD に送ります。もちろん、プリント形式の出力も非常に高速に行うことができます。実に画期的なこれら移動処理ステーションは、試験に最大限の柔軟性を与えています。それらは、同時進行する複数の試験プログラムに分割して使用することも、400 ~ 500 チャンネルの大規模プロジェクト用に単一の巨大ユニットとすることもできます。

「旧システムは1985 年にインストールされ、2002 年まで存続していました。終わり頃には、限られたチャンネル数(たった256)とテープへのアナログバックアップに我々は限界を感じていました。それは明らかにアッ
プグレードすべき時でした」と、Piret 氏は説明しています。
「我々には何が必要か分かっていました。それらは、500 チャンネル、データ損失のない信頼性の高いシステム、全チャンネルでの時間領域スループット、そして試験後に即座に利用可能な処理データです。LMS は、4 つの独立しているが連動可能なシステム、すなわち別々にでも一緒にでも使えるシステムを作り上げました。これによって、我々は試験センターとして多大な柔軟性を得ることができました。」


機動性、柔軟性、および時間節約に関する全社的な改善

この新システム並びに鍵となるソフトウェアのアップグレード、そしてアニメーションモジュールなどのいくつかのアドオンは、ESTEC 試験センターにおける試験とデータ収集の概念を変えました。機動力のあるシステムのお陰で、オペレータはラックごと物理的に移動して、別のオペレータと容易に情報をやり取りできます。

Herschel-ESA-ESTEC.jpg「試験中は、マスター制御パネルにオペレータが一人いるだけで十分です。
各ラックの前に一人ずつ計4 人配置し、トランシーバーでやり取りする必要はありません。トランシーバーの時代は終わったのです」と、ESTECで構造試験を担当するSteffen Scharfenberg 氏は述べています。

このような機動性は、柔軟性の向上にもつながっています。以前のシステムは、1 つの大きくて重い常設のシステムでした。現在のデータ収集システムは、まるで4 台の小さな車輪付き冷蔵庫のようです。ユニットは簡単に切り離すことも、組み合わせて512 チャンネルの機能性を持たせることもできます。

「旧システムでは不可能だった2 つの試験プロジェクトの同時処理も簡単です。また、このシステムの素晴らしい帯域幅とダイナミックレンジは、LMS SCADAS III ハードウェアの直接充電型センサー対応や様々な分析機能とともに、熱衝撃試験用に高チャンネルのトランジェントレコーダーとして使用することも可能にしています」と、Piret 氏は付け加えています。


時間短縮につながるパッチパネル方式

大幅な時間節約をもたらした柔軟性に関係するもう1 つの機能は、パッチパネル方式です。新しいシステムについて考えていたとき、Gaetan Piret 氏は、セットアップが行われるクリーンルームから実際の加振機へ移動する際に、衛星と一緒にコネクターのセットアップも移動するというアイデアを思いつきました。
「振動音響試験を行うとき、2 つの施設間には物理的に100m の距離があります。以前は、200 本のケーブルを取り外した後、また200 本のケーブルを接続し直して、それらを二重チェックしていました。要するに、たった200 チャンネルで約2 日間の作業が必要でした」と、Gaetan Piret 氏は話しています。

現在では、パッチパネル方式のお陰で接続作業は1 回でよく、面倒なセットアップ工程は大幅に効率化されています。「新しい500 チャンネルのシステムとパッチパネルによって、個別に500 本のケーブルを接続するのではなく、16 本のマスターケーブルだけを接続すればよくなりました。再構成には数時間あれば十分です。以前は4 日以上かかっていました」と、Steffen Scharfenberg 氏は付け加えています。


30 分で完了するデータ配信

データ処理に関しても、チームはある部分に著しい改善を確認しています。LMS Test.Labは100% オンラインシステムなので、試験後直ちに周波数領域の結果を出力します。このデータには何ら特別な後処理も必要ありません。バックアップとして時間領域のデータも利用可能です。

「大規模な試験であっても、通常、我々は500チャンネルのデータを約30 分でUSB スティックに書き出すことができます。これにはもちろん、お客様に引き渡す前に我々が行う品質管理の時間も含まれています」と、ESTEC でETSのデータ処理マネージャを務めるJean-Sébastien Servaye 氏は述べています。
「お客様はしばしば至急データを必要とするので、なかなか大変なことなのです」と、SteffenScharfenberg 氏は付け加えています。「LMSTest.Lab の最大の利点は、設定、コンディショニング、そしてデータ収集まで、システムにすべてが統合されていることです。データ変換の必要はありません。とてもシームレスで、実に簡単です」と、Jean-Sébastien Servaye 氏は話しています。


将来的にも極めて安全な試験

ヨーロッパの困難な衛星試験プロジェクトのほとんどが、そして航空機メーカーや海運メーカーによる他のタイプの試験さえも、結局ノールドワイクにたどり着くことを考えると、ESTEC試験センターが安全と品質と効率性の基準となっていることは明らかです。
「試験センターにおいて最も重要なファクターだと思われる、安全性に関しては、オペレータはLMS Test.Labの振動制御の自己チェック機能を高く評価しています。それは、正弦波スィープやランダム加振時の各チャンネルの応答に関して、宇宙船がどのような挙動を示すか予測して分かりやすく知らせてくれます。それはある意味で、これら必要不可欠な試験において、値段の付けようもないほど貴重な航空宇宙貨物の安全を保証す
る第2 の目だと言えます」と、Jean-SébastienServaye 氏は締めくくっています。



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