LMS のエンジニアリングサービス部門が、概念設計段階で複数の特性のバランスを取ることで開発期間を短縮できる専用プロセスを開発

ますます短縮される製品化までの期間、急増する派生モデル、そして顧客の高まる期待、これらは自動車業界における競争圧力を途切れることなく増大させています。成功を収めたメーカーは、その車両開発プロセスを根本的に変革し、仮想プロトタイプ・シミュレーションに基づいて設計上の意思決定を行う能力を高めてきました。
初期段階でなされる設計上の意思決定は、車の構造的および動的な特性に大きな影響を与えます。例えば、シャシーの概念設計では、新しいデザインに対して求められる操縦安定性の実現に最も重点が置かれますが、シャシーの基本構成は車両の乗り心地と全体的NVH 性能にも大きな影響を与えます。これらの重要な評価特性にも配慮しなければ、後になって車両レベルのNVH 目標を達成するこ
とは非常に困難になります。
LMS のエンジニアリングサービス部門は、自動車業界での幅広い経験を通して、概念設計段階で複数の性能評価特性に同時に対処できる専用プロセスとシミュレーション技術を開発しました。これによって重要な評価特性間でバランスを取ることが可能になり、一連の弱点や潜在的不具合は概念設計段階で排除できるのです。
構想段階でのドライバビリティの最適化
ドライバビリティは、パワートレインのマウント装置の設計においてエンジニアリング上の重要課題の1 つとなっています。車両のドライバビリティは、チップイン、チップアウト、ギアシフトなど一時的なスロットル操作時に低周波振動を生じるマウントの特性によって示すことができます。これは車両ブランドの重要な差別化要因であり、挑戦しがいのあるエンジニアリング問題の1 つです。
LMS のエンジニアリングサービス部門は、様々なプロジェクトにおいて、概念設計段階からマウント装置の設計に最適化ループを適用するシミュレーション手法を展開してきました。しかし一方で、燃料効率などの環境問題がエンジニアリング部門に対してさらなる圧力をかけています。新たなエンジニアリング課題は、燃料効率と排出ガスの要件を満たすと同時に、ドライバビリティの目標も達成することにあります。
ドライバビリティは、ECU 装置が最大の燃料効率を確保するよう燃焼圧を管理している燃焼プロセスによって大きく影響を受けます。ドライバビリティの目標を考慮すれば、最適化プロセスで燃焼圧を固定パラメータではなく変数とする必要があることを示唆しています。LMS のエンジニアリングサービス部門とImagine部門は、燃焼圧の予測モデルを使用して、それをパワートレインのマウント設計の最適化プロセスに変数として含める新しい手法を開発しました。この燃焼圧の予測計算には、エンジンECU や噴射装置などの主要コンポーネントが燃焼プロセスとともに含められています。
自動車開発チームは、ドライバビリティと燃料効率の目標を調整した後も、複数の評価特性にまたがった最適化にNVH の目標を含めるという次の課題に取りかかる必要があるでしょう。LMS のエンジニアリングサービス部門は、この課題に対処できる新しい手法を現在開発中です。

乗り心地とロードノイズのシミュレーションを前倒しする
一般に、CAE ベースのシャシー設計は、車両開発の概念設計の初期段階に実施されます。その時点では、通常、考慮すべき唯一の評価特性はビークルダイナミクスです。開発チームは、ビークルダイナミクスに着目して接合箇所やブッシュ剛性などのシャシーパラメータを最適化しますが、しばしば対立するNVH や乗り心地に関する要件は考慮していません。結果として、ロードノイズ、乗り心地、あるいは他のNVH 分野に関連する多くの問題は、詳細設計や調整段階で解決すべき課題として残されます。
概念設計段階でNVH と乗り心地の周到な解析を行うことが、間違いなくこのプロセスを改善することにつながります。しかし、これには十分詳細かつ正確なモデルが必要ですが、そのようなものは概念設計段階ではまだ利用できません。このハードルを乗り越えるため、LMS のエンジニアリングサービス部門は、今あるビークルダイナミクスモデルから必要なモデルを直接に導く画期的なアプローチを開発しました。ビークルダイナミクスモデルを改良するために、必要なところに必要な情報だけを追加します。例えば、乗り心地解析用にコンポーネントの弾性が追加され、300Hz までのロードノイズ解析用に専用のNVH タイヤモデルが含められます。
NVH の場合、先進の部分構造合成法である「周波数ベースの部分構造合成法(FBS)」を用いることで、大幅に計算スピード(従って最適化のスピード)が向上するだけでなく、実験ベースの情報をビークルダイナミクスモデルに含めることも可能になります。
さらに、共通のパラメータセットで評価特性の最適化を可能にするプロセスが開発されました。これは例えば、接合箇所の変更がすべての評価特性の計算に影響を与えることを意味しています。
概念設計段階での耐久性解析用の高度な荷重予測法
概念設計段階の近似的な車体モデルでは、新型車の耐久性を精度良く解析するには十分でありません。まず荷重を予測し、その荷重が車輪とサスペンションを通じてどのように伝搬するか解析できなければいけません。しかし、最初の試作車を組み立てて耐久試験コース上を走らせなければ実際の荷重は測定できません。
LMS のエンジニアリングサービス部門は、完全に同型の試作車を準備することなく、旧型車での測定データから新型車に働く荷重の予測を可能にする「ハイブリッド道路」のアプローチを開発しました。このアプローチは、旧型車の測定データとCAE モデルに基づいて、旧型車の路面プロファイルを逆算することから開始されます。路面プロファイルが得られれば、その路面プロファイルに渡って車両モデルを仮想に走らせることによりコンポーネント荷重を計算できます。
ハイブリッド道路アプローチがユニークなのは、試作車が利用可能になる前から本格的な耐久性解析が可能である点です。荷重の測定データがなくても、旧型車のナックル変位をもとに車体への入力を計算できるので、異なるモデルを通して精度と一貫性が保証されます。
ハイブリッド道路アプローチによって、車両開発チームは概念設計段階から目標の耐久性能を考慮できるようになります。LMS は、エンジニアリング部隊がこのアプローチを展開することで耐久性能を総合的に改善できるようにする専用のサービスを提供しています。