ディーゼルエンジンメーカーのCummins 社は、世界でLMS Test.Lab を標準ツールとするグローバル戦略のもと、試験業務をパワーアップしつつターンアラウンドタイムを28% も削減しています。このようにして同社は、既存のNVH 実験設備と要員はそのままに、新製品をいち早く出荷し、増大する顧客注文に応え、そして現場での顧客サポートに迅速に対応することで、この業界でリーダーとしての地位を強化しています。

車両または機器の一部がディーゼル駆動であるなら、それはCummins 製エンジンを搭載しているかも知れません。同社は世界最大のディーゼルエンジンメーカーであり、燃焼システム、空気処理、エレクトロニクス、燃料系統、排気ガスの後処理など、主要なエンジンシステムのすべてを自前で設計する能力を持った唯一の独立系エンジンメーカーです。数十年前まで、Cummins 製エンジンのほとんどは「クラス8」と呼ばれる大型の長距離輸送トラック向けに製造されていました。
今日、ディーゼルエンジンの持つ2 つの大きな利点、すなわち、高トルクパワーおよび同等のガソリンエンジンに比べて約30%高い燃料効率によって、その適用分野は広がる方向に推移しています。そのため、現在Cummins製エンジンを搭載する機器には、建築/ 産業機械、農業機械、発電機、消防車、機関車、ボート、RV 車、バス、そしてピックアップトラックや自動車までが含まれています。ピックアップトラックなどの個人向け車両は、特に前途有望な市場と見なされています。ヨーロッパで販売されている車の約半数はディーゼルエンジン車であり、J.D. Powers and Associates社の調査では、米国で購入されるディーゼルエンジン車の台数は2012 年までに現在の2 倍以上になると予測されています。
この流れの先頭に立つCummins 社は、1988 年以来、大型ピックアップトラック「Dodge Ram」搭載のディーゼル
エンジンを独占的に供給しており、最近では、標準サイズのピックアップトラックやSUV など総重量8,500 ポンド以下の軽量トラック向けディーゼルエンジンの生産に関してDaimlerChrysler 社と合意に達しています。
静かなディーゼルエンジンに重要となるNVH 試験のスピード

エンジニアは静かなディーゼルエンジンの開発により一層努力を重ねる必要があります。ディーゼルの燃焼はガソリンの火花点火よりも一般に大きな音をたて、さらにディーゼルエンジンには高圧インジェクションポンプやターボチャージャーなど振動騒音の発生源となりがちな多くの補助部品があります。

「開発プロセスを通してワークフローを維持し、フィールド試験を効果的にサポートしていくには、NVH 試験の生産性向上が不可欠です」と、Cummins 社の応用力学部門のワールドワイドリーダーであるBill Bederaux-Cayne 氏は話しています。
「解析主導の設計」を提唱しているCummins 社では、シミュレーションモデルを検証し調整するという実験データに求められる重要な役割から、実験室における試験効率の重要性が拡大してきていると彼は説明しています。「当社の実験室は迅速に試験を実施し、できる限り早く結果を出さなければなりません。そうでなければ、試験がボトルネックになってしまいます」と彼は話しています。
LMS Test.Lab を世界で標準化

NVH 試験の生産性を向上させる必要があったのは、試験プロジェクトの増大する需要についていくためでしたが、一方で既存の設備と要員を活用するためでもあったと、Bederaux-Cayne 氏は説明しています。「目標とされたのは、実験室同士でデータを共有し比較することに関して、ならびに顧客向けに簡潔なレポートを生成することに関して一層の効率アップを図るため、我が社の世界の実験室で試験装置とプロセスを標準化することでした。さらに、定型業務の自動化、結果の可視化、そしてNVH 試験プロセスの全般的スピードアップのために、それ特有の技術的能力も求められました」と彼は説明しています。
「標準化と生産性の問題に対して、LMS Test.Lab でNVH試験効率の向上に取り組むことが決定されました。現在市販されているシステムを包括的に比較検討した結果、試験プロセスを世界で標準化するとともに、技術的能力の向上によって個々の試験のターンアラウンドを短縮したいという我々の要求に、LMS の技術が最も良く応えるものであると判断したからです。」
Cummins 社はこれまでに、米国インディアナ州コロンバスにある本社と各地域向けにエンジンを開発している英国、ブラジル、インド、その他の海外生産拠点など、世界各地に散らばった実験室に17のLMS Test.Lab システムを配備しました。システムはそれぞれ、最大64 チャンネルのLMS SCADAS 316 データ収集フロントエンドで構成されています。
優れたレポートを迅速に準備
Pace 氏によると、彼のグループのエンジニアはLMS Test.Lab のレポート作成機能を用いて迅速にレポート文書を準備しています。例えば、レポートテンプレートを用意することで、ワークシートに格納されている適切なデータを、エンジニアが手作業で行うのではなく自動で文書に埋め込むことができます。このようにして、間違いのない首尾一貫したレポートが、従来は数日要したものを数分で準備できるようになりました。
「我々は自動データリダクション機能によって大幅な時間節減を実現しています」と彼は話しています。「エンジニアは手作業で結果を調べてチャンネルごとにデータを1 つずつキー入力するのではなく、LMS Test.Lab の分かりやすいスクリプト記述ツールを使用して、自動でデータを抽出し演算を施して必要なプロットを素早く作成できるプログラムを作成しています。我々は1 つのレポートを作成するとき、8 個の共振周波数に対する変位量を知るため、エンジン回転次数に対応した変位対rpm ピークホールドのデータセットを12 個調べる必要がありました。そこでは、多数の次数がいくつかの次数と交差する場合もあります。データを何日もかけて手作業で探し出すことなく、我々は必要なものをたった数分で得ることができました。それは驚くほどの生産性アップであり、多量のデータを非常に高速に分析できる素晴らしいツールだと思います。」
LMS の装置を導入して以来、利用される試験ポイントの数とシステム試験のスピードは大幅に改善されています。「LMSのシステムによって、選択できる試験ポイントの数はほとんど無制限となり、トレース検証はかなりの部分がオンライン処理によって現場で迅速に完了できます」とPace 氏は述べています。「LMS のシステムによって、データの収集と処理のプロセスは全社で大部分が共通化されました。また、LMS のシステムを使用す
ることで、プロセス開発や最良実施例について実験室同士のコミュニケーションが深まり、Cummins 社内の応用力学グループの結束も強化されました。」
ダイナミックな可視化の威力

Cummins 社のエンジニアにとって時間節減となるもう1 つの自動化機能は、
モーダル実験データを分析して安定化ダイアグラム上に共振点を明瞭に示してくれるLMS PolyMAX ソフトウェアです。
「以前は、固有周波数を取り出すための試験調整に何時間も費やしていました」とPace 氏は説明しています。「それに引き換え、PolyMAX アルゴリズムは、モーダル共振点を計算するとともに不安定ベクトルを減少させるので、共振点を容易に見つけることができます。
さらに、共振点の検証にMIF 関数を用いることにより、そのプロセスは試験のキャンベル線図やODS による変位量の相関検討のためのテーブルを集めて生成することも自動化できるほど十分安定なものとなります。これによって、固有周波数がシステムに与える影響を評価するために必要な3 つの要素、すなわち共振周波数、モード形状、共振時の変位量がすべて得られます。また、このタスクを自動化しなければ、データの主観的解釈によって結果が異なる恐れがありますが、自動化によってより首尾一貫した結果が得られるようになります。誰が試験を実行しようとも、またどこで作業が行われようとも、結果には一貫性が求められます。」
Cummins 社にとって特に価値あるTest.Lab の機能の1 つはアクティブピクチャ機能です。これは対話形式の生の実験データをカット&ペーストしたり、拡大縮小したり、合成したり、アニメーション表示したりできる機能です。もしこれがなければ、LMS Test.Lab を起動せずにWord やPowerPoint のようなMicrosoftOffice ツールで操作する必要があります。「我々はLMS Test.Lab のアクティブピクチャ機能をほとんどすべてのレポートで使用しており、結果を分かりやすく迅速に伝える上で驚くべき時間節減につながっています」とPace 氏は語っています。「アニメーションを見た顧客や同僚は構造体がどのような挙動を示すか即座に理解してくれます。静止画や数字の羅列を調べるには何時間もかかることでしょう。」

Bederaux-Cayne 氏によれば、このようなNVH 結果を明瞭に表示/ アニメーションできる可視化機能は、Cummins 社にとってLMS Test.Lab の最も強力な機能の一部となっています。「我々は、実稼働変形(ODS)アニメーションのようなプロットを生成し、構造体が様々な周波数でどのように曲がったりねじれたりするかを見ることができます」と彼は指摘しています。
彼が記憶しているあるプロジェクトでは、エンジニアは2 年に渡って顧客と話し合い、周波数対変位の折れ線グラフを綿密に検討したにもかかわらず、ダンプカーのエンジンマウントで繰り返し生じた破損の原因を割り出すことができませんでした。「我々は試験コースで車両を走らせ、試験の実施中にODSアニメーションを観察し、そしてマウントが特定の周波数で飛び込み板のようにたわんでいることを即座に確認しました。その共振をなくすようエンジン構成を変更したところ、問題は一挙に解決されました。」
LMS Test.Lab のオンライン処理機能では、データ収集と同時にリアルタイムで計算が実行され、データが欠落することも測定スピードが低下することもありません。このようにして、エンジニアはカラーマップやウォーターフォール図を見ながら即座に傾向を見抜き、実験データの妥当性を検証することができるのです。さらに、顧客にとっても彼らの製品の全体挙動をより的確に捉えることができ、Cummins 社が問題解決とトラブルシューティングのため即座に実験データを準備できることに当然ながら感心することでしょう。
同時進行の試験を迅速に実行
以前の試験装置ではチャンネル総数が限られていたため、しばしばCummins社のエンジニアは、騒音データをすべて収集するのに複数の試験を準備して実行せざるを得ませんでした。このため、すべての試験を実施するには長い時間がかかり、エンジニアは製品挙動に対してわずかな所見しか得られませんでした。それに引き換え、高チャンネル総数を持つLMS Test.Lab により、Cummins 社は複数の試験を同時に実行し、より多くの測定データを収集できる柔軟性を得ることができます。
ワールドワイド騒音対策グループのリーダーであるRichard Varo 氏は、半無響室においても施設外の自由音場テストパッドにおいてもこの高チャンネル総数を存分に活用しています。両方とも600-hpのダイナモメータとコントローラが備えられています。また、Cummins 社の試験コースと顧客サイトでも騒音の測定が行われています。
「当社の旧システムは同時に6 個のマイクロホンしか取り扱うことができませんでした」とVaro 氏は話しています。「例えば、音響パワーと音圧の測定には開始から完了までに20 時間以上かかっていました。なぜなら、3 回の試験を行うためにそれぞれの場所にマイクロホンを移動させなければいけなかったからです。現在我々はLMS Test.Lab によって18 個のマイクロホンを使用でき、1 回8 時間の試験実行ですべての測定データを収集できます。それは、通常の測定データ一式を収集するのに必要な実行時間で60%という驚くほどの削減率となっています。」

彼はまた、LMS Test.Lab の高チャンネル総数と高速処理能力によって、Cummins社は音響と振動の測定を同時に実施することが可能となったと説明しています。「これによって我々は、全体的な問題だけでなく固体伝播音を生成する構造部品の相互作用をより的確に捉えることができるようになります。我々はマイクロホンでノイズをモニターしながら、加速度計でエンジンブロック、ターボチャージャー、その他のポイントで振動の測定も行うことができます」と彼は説明しています。「LMS Test.Lab はこれらすべての測定データを同時に受け入れることができるだけでなく、騒音源を迅速に特定し評価するための強力なデータ分析とプロット機能も備えています。」
競争の激しい業界でトップを維持する
「当社の世界に散らばる実験室でLMS Test.Lab を標準化したことにより、我々の試験業務に大幅な生産性向上がもたらされました」と、Bederaux-Cayne 氏は語っています。「共通のツールとプロセス、そしてそれらに組み込まれたタスク自動化や可視化その他の時間節減につながる機能によって、我々の作業指示書におけるスループットタイムは平均28%も削減されました。これは我々の既存の実験設備と要員で達成した結果です。」
「LMS Test.Lab は、当社の技術的生産性を高めるのに極めて有効です」と彼は指摘しています。「もっと広い意味では、トップを維持することは他に比べてより速くより機敏に行動することですが、そういう点でLMS の技術は、新たなビジネスチャンスに迅速に対応し、製品を早期に発売できるよう開発を加速し、拡大する顧客ベースに対し他社よりも優れたサービスを提供するという当社の戦略にとって極めて重要な要素であると考えます。明らかにLMS Test.Lab は、我々が競争の激しいディーゼル業界においてナンバーワンの地位を強化するための選り抜きのソリューションと言えます。