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Behr社がLMSの実験とシミュレーション技術を用いて熱管理システムを改善

engine-cooling and climate-control durability and NVH 2今日、市場が要求するのは、運転席の居住性とエンジンルームの信頼性の両方を備えた車です。「Behr製品」といえば高性能な熱管理システムの代表格であり、世界中の主要自動車メーカーや車両メーカーによってその採用が進んでいます。Behr社は、仮想シミュレーションと実験に基づく検証の技術を最大限に活用すると同時に、それらを世界中の組織で標準の技法とすることによって、自社内に技術革新の風土を確実に定着させています。Behr社では、エンジン冷却システムと室内空調システムの設計おいて、耐久性とNVH(騒音、振動、ハーシュネス)など分野にまたがった複数の設計項目を迅速かつ高精度に最適化するために、LMSのソリューションが利用されています。


システムインテグレータとしての展開

engine-cooling and climate-control durability and NVH 1Behr社は、空調システムとエンジン冷却システムの設計・製造では世界的大企業です。Behr社は、自動車産業の完成車メーカーを主に顧客とし、小型車から高級
車、商用トラックに至るまで各車種用の画期的ソリューションを提供しています。冷却システムについては、航空宇宙産業や他の地上輸送産業などにおいても活発に事業を展開しています。Behr社は長年をかけて、ドイツ国内の大手技術会社から世界的な開発パートナー企業へと発展を遂げてきました。Behr社は部品やモジュールのサプライヤであると同時に、開発から生産ラインの供与まで請け負うシステムインテグレータとしての地位を確立しています。開発、生産、試験、サービスの各センターに16,200人の従業員を擁するBehr社は、現在、主要な業界にはすべて参入を果たしています。




ハイペースな要求に対応する


主要自動車メーカーやトラックメーカーは、部品メーカーの製造する部品やアセンブリに対して、エンジニア
リング上の開発責任をこれまで以上に要求するようになってきています。Behr社に対しても、特定車種向けの独自仕様の設計など、モジュール一式やトータル熱管理システムに対する開発依頼が増え続けています。Behr製の空調システムは、乗員の快適性、エルゴノミクス、扱いやすさ、安全性など、車のトータルな熱性能の改善に貢献しています。また、そのエンジン冷却システムは、高いエンジン効率を実現し、結果として燃費と排ガスレベルの改善にもつながる安定した温度制御環境を提供しています。Behr社はまた、ハイブリッドクロスバービーム、4ゾーン空調システム、一体鋳造のラジエータシステム、冷媒として環境に優しい炭酸ガスの利用など、常に新しい画期的な技術を導入しながら顧客のブランド価値の向上に努めています。


Behr社にとっての挑戦

Behr社は、納入先メーカーから仕様目標が与えられると、そのオーダーメイドの空調システムやエンジン冷
却システムの開発に着手しますが、そのときいくつかの難問に直面します。まず、Behrのシステムに割り当てられる収納スペースは厳密に決められており、それは極めて限られているのが通常です。グローブボックス、エアバッグ、エンジン、アクチュエータ、ターボ部品などの空間も確保しなければならないからです。さらにBehrのパッケージは、重量制限を厳重に守りながら、卓越した温度制御性能を発揮することも要求されます。加えて、Behr社の製品は、全域に渡って車室内騒音レベルを抑えるよう、非常に厳しいNVH基準も達成する必要があります。冷却システムの性能は自動車そのものの信頼性にとって極めて重要であるため、その信頼性もまた重要な課題です。


革新的なプロセスを革新的な製品に変える

Behr社は、革新的な製品設計は革新的な開発プロセスから生まれると考えています。このビジョンを実現するために、開発の全段階に渡って仮想設計シミュレーションが導入され、信頼性と効率性を備えた設計プロセスが取り入れられました。Behr社では、初期構想段階からシミュレーションを利用するために、予備的なジオメトリモデルを準備して基本システムモデルを構築します。機構シミュレーションに続いて音響シミュレーションと耐久性評価が行われ、そこから得られた結果を用いて、構想設計段階で作成されたシステムモデルに価値ある洞察が加えられます。これによって、その後の設計段階で広範囲に渡って連続して行われるシミュレーションの範囲を絞り込むことができます。そのときLMSのソリューションが、試作実験が開始される前に熱管理システムの性能を最適化できるようBehr社をサポートしています。


CAEを実験ベースの検証と組み合わせる

Behr社では、仮想シミュレーション技術と実験に基づく検証の技術を適切に組み合わせることによって、新製品の効率良く的確な設計が進められています。その結果、Behr社のエンジニアリングプロセスは、スピードアップとコストダウンだけでなく、より高い精度と安定性も実現されました。実験の役割は製品開発ツールから設計検証ツールへと変化しており、仮想シミュレーションモデルの相関性を取るための手段となってきています。Behr社の試験システムは、LMS SCADAS IIおよびIII、LMS Roadrunnerマルチチャンネルデータ収集ハードウェア、そしてそれらに対応したLMS CADA-X試験ソフトウェアで構成されています。さらに、新世代のソフトウェアパッケージであるLMS Test.Labも現在導入が進んでいます。

 Behr社は、シミュレーション能力をさらに向上させ、それを商用プロジェクトの付加価値に直接反映させる目
的で、基礎研究プロジェクトに継続的に資源を投入しています。Behr Stuttgart(ドイツ)とBehr Charleston(米国)では、冷却モジュールと空調ユニットの動的シミュレーションに焦点を合わせた3つの合同研究プロジェクトが立ち上っています。これらのプロジェクトから得られた成果と技術は、全社的な指針と規格を通じてBehr社の全組織で共有されます。過去の主要なプロジェクトの1つに、冷却モジュールのモーダル解析に関する研究があります。この研究では、LMS GATEWAYとLMS CADA-Xが使用され、実験結果と有限要素解析(FEA)結果の互いの相関性が確認されました。その他の例としては、高温度負荷の特性の決定と、新素材あるいは金属-プラスチック接合に関する研究が行われています。

 
動的荷重ケースから開始する

Behr社はまず、顧客の試験コースで実施された広範な車両試験から得られた測定荷重データを入手します。動的荷重データが収集され評価されると、それらは最近立ち上がったBehr社の世界規模の荷重データベースに格納されます。これらの荷重データを動的機構シミュレーションで用いるところから、Behr社の仮想設計プロセスが開始されます。機構シミュレーションからは、個々のコンポーネントに作用する動的反力の予測値が得られます。このシミュレーションでは実環境条件が用いられ、材料の弾性も考慮されます。そのため、計算された反力情報は、NVHや耐久性など他の特定分野の解析に対して非常に信頼性の高い基礎データとなるのです。Behr社は複数の設計項目を同時に考慮しながら設計を進めているため、最も重要な項目のトレードオフを達成することによって、設計全体のバランスをとることが可能になります。
そこでは、LMS TecWareが実験から得た荷重ケースの評価に用いられ、LMS DADS / LMS Virtual.Lab Motionと
LMS CADA-Xがシステムレベルの動特性シミュレーションに用いられています。

空気の流れと振動騒音を改善する

車の居住性を決定する重要な要素の1つとして、空調システムなどの静かな動作音が求められています。そのため、完成車メーカーは、ほとんどの部品メーカーに対してより一層厳しいNVHレベルを課すようになってき
ました。Behr社では、自社の熱管理システムにおける騒音レベルの低減と性能向上を図るため、音響解析や
CFD(数値流体力学)解析を集中的に行って、このような課題を先取りしようとしています。
例えば、パラメータ化された車室内モデルを使用して、空調システムの動作中に空気の流れが乗員にどのように感じられるかをシミュレーションしています。好ましくない騒音や振動の発生源も追跡され、空調システムの音響伝達関数を最適化するために様々な設計案が評価されます。冷気や暖気の流れを調整するフラップ、部品間の継ぎ手、材料そのものの剛性など、問題となりうる要素は多岐に渡るため、NVHの制御は非常に複雑になります。Behr社では、LMS GATEWAYを使用してモーダル解析結果を検証し、そこから応答シミュレーションにとって有効な基礎データを引き出しています。また、LMS SYSNOISEを幅広く使用して、設計案の音響性能を評価し最適化を試みています。

システムの耐久性を把握する

 Behr社の製品は、振動や過渡的な温度/圧力負荷などの厳しい稼働条件にさらされていますが、ほとんどの場合、これらの条件は互いに複合して生じています。そのため、システムの耐久性評価においては、実験から得た材料データや疲労データを数値解析ツールといかに組み合わせるかという点が、彼らにとっての大きな目標課題となります。冷媒、燃料、オイルなどの刺激物質にさらされることによって部品の寿命が影響を受ける場合は、この作業はますます複雑になります。

破損箇所が分かっているような単純な疲労問題に対しては、Behr社では静的FE解析を行って、応力結果を破
壊試験から得られたウェーラー曲線と比較し、疲労寿命を推定します。より複雑な動的疲労問題に対処する
ために、Behr社は、LMS TecWare/LMS FALANCS疲労解析システムと、自社のPERMAS FEAソルバーとのイン
ターフェースを導入しました。動的荷重に含まれる周波数成分に応じて、Behr社では、準静的なアプローチとモード重ね合わせ法のいずれかを使用します。どちらのケースにおいても、LMS FALANCSによってFE解析結果と荷重の時刻歴が組み合わされ、製品の疲労寿命が計算されます。このように、応力と疲労に関して信頼できる情報が得られるからこそ、Behr社は、非常に厳しいコスト、重量、そして耐久性の基準を満たしながら顧客ごとの独自仕様のシステムを開発できるのです。

シミュレーションを活用する

Behr社が市場での競争力をさらに高めるには、複数の属性にまたがった厳しい要求をも満たすような世界に誇る熱管理システムを提供していく必要があります。あらゆる段階で総合的に仮想シミュレーションを活用すると同時に、実験結果を用いてシミュレーションを効果的に補完することによって、製品開発プロセスの再設計をさらに進めれば、Behr社はこの目標を達成できることでしょう。
Behr社では、仮想プロトタイピングは標準の技法となっています。また、専門家のノウハウの活用や、近い将来発売予定の製品の特性管理もすでに行われています。早い段階から仮想設計の手法を取り入れて検討すれば、設計プロセスをスピードアップし、革新的な製品を送り出すことができます。Behr社の熱管理システム製品の開発プロセスにおいては、LMSが提供するシミュレーションと実験のソリューションが大きな役割を果たしています。

Case example 1
性能試験場で発生した破損事故

engine-cooling and climate-control durability and NVH 6engine-cooling and climate-control durability and NVH 4ある車種のトラックの耐久性試験を行ったところ、ラジエータに漏れが生じました。このトラックに計器を積んで測定した結果、Behr社のエンジニアは加速度波形にスパイクを発見しました。これは部品間の干渉を示唆しています。彼らは、試験走行中に冷却モジュールと車台部品との間で繰り返し衝突があったものと判断しました。Behr社は、LMS DADSモデルを作成し、この接触を再現するために機構シミュレーションを実施しました。シミュレーションの結果、隣接するトラック部品との間に最適な間隔を設けることができ、この接触を解消することができました。




Case example 2
エンジン冷却システムの相関性の実験

engine-cooling and climate-control durability and NVH 3engine-cooling and climate-control durability and NVH 5Behr社では、エンジン冷却システムの設計プロセス全体にわたって、三次元のNVHシミュレーションを実施しています。冷却モジュールの周波数応答解析を行うことによって、支持部材、ブラケット、連結部品などの危険箇所を検出できます。この結果は、さらに疲労予測を行う際の基礎データとして用いられます。
Behr社では、LMS GATEWAYを使用して冷却モジュールの振動特性の相関性を図るとともに、その減衰係数を決定しています。相関性が確立した解析モデルは、正確な結果を得るための鍵となるばかりでなく、疲労評価のための信頼できる基礎データにもなります。また、将来に向けたLMS Virtual.Labによる機構シミュレーション用の弾性体データベースとして利用されます。


Case example 3
空調ユニットのNVHシミュレーション

engine-cooling and climate-control durability and NVH 7
 Behr社では、空調ユニットのNVHシミュレーションも行っています。左の図と中央の図のユニットは、非対称型のユニットであり、乗用車のダッシュボードパネルの下に横向きに組み込まれます。右の図のユニットは対称型のユニットであり、ダッシュボードパネルの下中央部に、センターコンソールに隣接して設置されます。どちらのタイプを選択するかは、Behr社のシステムに割り当てられるスペースに応じて決定されます。
Behr社では、LMS SYSNOISE(右の図)を用いて音響特性を計算し、納入先メーカーの騒音目標を達成するよう検討を行っています。また、LMS GATEWAY(中央の図)を用いて相関性の試験を実施して、動的FEA解析の精度を改善するとともに、振動特性と耐久性に関する納入先メーカーの要件を満たすよう検討を行っています。 engine-cooling and climate-control durability and NVH 9engine-cooling and climate-control durability and NVH 8



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